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好きなことを、気ままに、好き勝手に、綴る。

CDとストリーミング

CDが売れない、と言っていること自体がもはや時代遅れなのかもしれない・・・

そんなことを思う今日この頃。

CDバブルと言われた90年代。

98年をピークに毎年、売上高が右肩下がりを続けているCD市場。

一方で、ストリーミング配信が日本国内で本格的に開始されてからもうすぐ4年近くが経とうとしています。

(Apple Music、AWA、LINE MUSICなどが2015年5月〜6月に開始、Spotifyは2016年11月から一般向けに本格始動)

しかし、ストリーミング配信のシェアもまだまだ小さなものです。

テクノロジーの進歩、メディアの多様化、インターネットの普及。

様々な要素が絡み合い、もつれ合い、音楽を聴くこと1つを取っても、どう聴けば一番楽しんでいけるのか?

私は専門的な音楽知識もなければ、歴史や文化に造詣が深いわけではありません。

ただ単に音楽を聴くことが好きなだけの人間です。

そんな人間ですが、CDとストリーミングについて、少し考えていこうかと思います。

 

CDの売上不振については多くの原因があちこちで議論されたりしています。

インターネットの普及によるメディアの分散化・多様化だったり。

CDの値段自体が海外に比べると高い、とかだったり。

Music FM等の違法アップロード・ダウンロードの横行だったり。

いろんな原因が考えられ、それらが重なり合って、現状に至っているように思います。

そもそも音楽自体への関心が薄らいでる、という風にも感じております。

今の世の中、ふと見渡せば音楽にとって代わる娯楽はたくさんありますから。

TVの衰退、も大きな原因の1つかもしれません。

TVドラマやCMなどのタイアップによる効果は90年代は絶大でしたから。

タイアップ全盛時代、とまで言われていましたし。

ミスチルスピッツ、サザン、ドリカムなどなど爆発的なセールスを生み出したアーティストたちもタイアップによるものは大きかったように思います。

あと思いつくのがiPodの登場。

あれが登場したことによりCDは買わなくてもレンタルしてデータとして取り込めばいい、という流れが出来てしまったように思います。

音楽を聴く、というスタイルが劇的に変わっていったように思います。

 

話が少し逸脱致しますが・・・  

私はかつて、CDショップで7年近くバイヤーをしておりました。

7年の間、年々とCDが売れなくなっていくのを肌身に感じて仕事をしていました。

例えばジャニーズ、某グループのお話。

私が入った当初は、ど田舎のお店でしたが1店舗でシングルが500枚は売れていたのですが・・・

私が辞める間際には半分以下にまで売上枚数が落ちていました。

人気が下がったというわけではなく、単純にCDを買うということをしない人が増えた、という印象でした。

お店側が入荷する枚数を絞っていった、というのも要因の1つではあります。

これは私が働いていたCDショップでのやり方にはなりますが・・・

例えばミスチルだったりサザンだったりの超大型リリースや、初回限定盤などは本社

よって割振が決められたりしますが、それ以外の新譜オーダー枚数って基本的にはある程度は店舗で決めていたのです。

(本社側がチェックして、弾かれたりすることもありましたけれど)

あのバンドは今、脂が乗ってきているから押し時だな、とか、このミュージシャンめっちゃ良いから推したい、とかそういうのでバイヤーが新譜の発注枚数を決めたりしていました。

しかし、徐々にCDが売れなくなりつつあることによって、保険というものがないとお店に導入するリスク(売れなかった場合)を会社側が考えるようになります。

その保険というのが販売開始してから何ヶ月後にメーカーへ100%返品可能なのかどうかということ。

大体は2ヶ月ぐらいでしょうか?

メーカー側への返品が効かない商品は導入・オーダーすることを本社側が拒否するようになっていきました。

おまけに転売の横行も頭を悩ませる要因でした。

初回限定盤、は基本的には初回生産ロット分で終了するもの。

(たまに追加生産されたりもしますが)

なので予約を逃した人向けに、名義を複数使って大量に予約をし、Amazonやメルカリなどで出品。

実際に入札があって、落札されない限りは予約してある商品を引き取りに来ない。

それによって大量に予約キャンセルになり商品を店頭に出すものの、販売のピークというものは1週間も経てばすぐに過ぎてしまうもので。

結果、在庫として大量に抱えたり・・・なんてことがありました。

そして在庫を抱えてしまう、ということが店舗や会社全体の在庫高を圧迫していき、
発注する数が減っていく、という悪循環を招いていきます。

結果的に実店舗での販売に限ってはこういったことが積み重なって、CDが売れない状況を作り出していったのかもしれないなぁなんて思います。

まぁチェーン店に限り、といった感じだとは思いますが。

個人経営店だとまた違った話になってくるかと思います。

 

話を戻しましょう。

CDが売れない、ということを嘆いたりすることはもはや時代遅れなんだろうなぁと感じています。

正直、今更CDをたくさん売る・売ろう、というのは時代のニーズにそぐわないように思います。

売れるものは売れるけど、売れないものは売れずに淘汰されていく。

これはどうしようもないことだと思います。

AKBグループみたいに付加価値を付けた商法も今や陰りが見えつつある。

CDの売上枚数だけのオリコンのランキングも何の指標にもならない。

(最近、ようやくDL販売とかも複合したランキングを始めましたが)

柴那典さんがご自身の著作で書かれていましたが、CDか売れる=ヒット、という図式はとっくに崩壊していて。

CDは今や嗜好品であり収集品なんだ、と私は思っています。

そもそもCDプレイヤーが自宅にある、という人自体がどれほどいるのでしょうか?

バイヤーをしていて感じたことですが、CDを買っていくライトユーザーは割と車の中でしか聴かない、という人が多々いたように思います。

ヘヴィユーザー、いわゆる音楽が音楽が好きで好きで堪らない・・・という人たちはどうでしょうか?

音楽が好きな人たちはCDを買う・CDで聴く、という人達もいれば、ストリーミング配信でしか聴かない、という人達もいる。

DL販売で買うという人もいれば、CDとストリーミングの両方だ、という人達もいることでしょう。

音楽を聴取するスタイルが各々に異なり、自分達なりの聴き方をしているように思います。
かく言う私も最近はそれほどCDを買うことはなく、ストリーミング配信をよく利用しています。

CDを買うのは本当にそのアーティストのことが大好きで、持っていたいという所有欲が高くなると買う、という感じでしょうか。

 

音楽の聴き方、時代の流れは確実にストリーミング配信へと向かっていってます。

特に海外はその傾向が強く、Chance The RapperのようにCDをリリースすることなくストリーミング配信のみ、というアーティストもいます。

しかし日本国内のメーカー、レコード会社は未だにCDに固執し過ぎているように思います。

ストリーミング配信を解禁しているアーティストがいる一方で、まったく解禁されていないアーティストもいるのが現状です。

例えば星野源や米津玄師。

日本国内でのストリーミング配信は一切解禁されていません。

しかし、海外向けだと解禁されていたりしており、謎のローカライズがあったりと、何をどうしたいのかがよくわからないことがあったりします。

レコード会社で上げていくと、ソニーコロムビア、テイチクは比較的にストリーミング配信解禁されているように思います。

ワーナーやユニバーサル、ポニーキャニオンはアーティストによりけり、といった感じでしょうか。

ビクターやトイズファクトリーもアーティストによりけりと感じますが、比較的に少ないように思います。

さらに絞っていくと、アニソン関係。

なかなかストリーミング配信されているものが少ない。

特に新譜となると即日解禁、とはならず1年とか経過してから解禁になったりしている印象です。

また、ストリーミング配信をしている会社によってもラインナップが異なったりします。

これまたアニソン関係の話にはなりますが、Apple MusicやSpotifyで解禁されているものはソニーコロムビアポニーキャニオンがあったりしますが、フライングドッグ(ビクター)やランティスはアニソン専門のアニュータでしかされていなかったりします。

個人的に思うことのですが、ストリーミング配信はこれから大きなプロモーションの役目を担っていくように思います。

ストリーミング配信でちょっと聴いてみて、良かったり好きだと思ったりしたら、CDを購入することへ繋ぐことができる、というプロモーションに。

もう少しCDに固執し過ぎず、柔軟に考えてレコード会社側がストリーミングを利用していく方向性になればいいのになぁと思ったりしています。

 

しかし、その一方でストリーミングの怖さを最近実感しました。

先日、電気グルーヴピエール瀧さんがコカインの使用容疑で逮捕されました。

レコード会社は即日、電気グルーヴのリリースされている音源を全てストリーミングから引き揚げました。

DL販売も、店舗で販売しているCDも引き揚げました。

正直、そこまでする必要があるのか?と疑問には思いますが、それはまた別の話。

ストリーミングのみで聴いていた人はもはや電気グルーヴを聴くには、CDを手に入れるしかありませんが、そのCDも販売停止。

誰かCDを持っている人に借りるという手段しかありません。

レコード会社側がその気になれば、一瞬で音楽を社会的になかったこと、封殺してしまうことがストリーミングでは出来てしまうのだという恐ろしさを感じました。

この出来事は絶対にCDがなくなることはないんだな、ということを私に印象付けました。

 

CDとストリーミング。

それぞれに良いところも悪いところもあって。

CDは衰退していくけれど、なくなってしまうことはないと感じております。

ストリーミングは便利で、手軽に音楽を楽しむことが出来るのはとてもありがたいことだと思います。

とはいえ、ストリーミングが音楽業界を救うと盲信する気もありません。

必ずしもそうとは言えない気もしているものですから。

どう音楽を楽しんでいくのか?という受け手側と。

どうやって音楽を届けていきたいのか?どこまで届けていきたいのか?という発信する側と。

互いが考えあって、どちらも上手く使っていけたらいいなぁ、なんてふと思います。

駄文、失礼致しました。