Hello, good bye, so long, and Hello!

好きなことを、気ままに、好き勝手に、綴る。

Thank you, my highlight05“ LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”

“足跡の無い道を選んで ずいぶん歩いたな”
“荒野の果て 何処かにきっと 足跡残ってる”
 
1989年9月16日を結成記念日とし、そこからバンドの長い歴史が始まった。それから30年。彼らは決して恵まれた道を歩んできたわけではない。思ったような結果が出ずもがき苦しみながらも、それでも螺旋階段を登るように少しずつ事態は好転して行き、自分たちが信じる道を歩んできた。そんなthe pillowsが結成30周年を迎えた記念すべき30th Anniversary Liveを観に行ってきました。
 
the pillowsに出逢って、かれこれ19年ほど。私が音楽に、ロック・ミュージックにのめり込んで行くきっかけを与えてくれたバンドの記念すべきライブ。こういったAnniversary Liveは20周年の日本武道館ライブ以来。
25周年は予定が合わなくて行けず、15周年はまだ遠征するなんて考えられない、青臭いガキンチョだったのでDVDでしか観たことがありませんでした。
今回のライブ、各インタビューでVo&Gt.山中さわおさん自身が語られていたことですが、これほどの規模の会場を使って大々的に行うAnniversary Liveは事実上これで最後になるだろう、と。30年という月日を経てメンバーは皆、50代になった。肉体的な限界は誰にだってある。あとはゆっくりとした余生に入る、と。だからこそ、今回のライブは決意と覚悟、緊張感を持って臨み、30年も続いてきたロックバンドの集大成となると語られていました。
そんなことを言われてしまったら、観る側としてもそれ相応の緊張感を持って臨まざる終えない。どんなライブを観ることができるのか?楽しさ半分、怖さ半分。1つの区切りとなる、終わりの始まり。開演する寸前まで緊張しつつも、ライブは幕を開けました。

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照明が暗転し、ステージの左右に付けられたモニターに映像が映し出される。
各メンバーの幼少期から今までの写真が映し出されながら、それぞれの母親たちの肉声メッセージが流される。最初はDr.佐藤シンイチロウさん(シンちゃん)、続いてGt.真鍋吉明さん(Peeちゃん)、最後に山中さわおさん、と。
どんな子供時代だったのか、どうして音楽を始めるようになったのか、バンドが30年も続いたのはなぜだと思うか?それぞれの母親視点でそれらが語られる。
最初シンちゃんの時に、映し出された幼少期の写真を観て、良い意味で変化のなさに笑い声をあげていたのですが、段々とそれぞれの母親たちがバンドが30年続いたのは「ファン層に恵まれた」「ファンあってのこと」「ファンに支えられてきた」と語られる言葉に感極まってしまいました。特にさわおさんの母親のメッセージが印象的でした。「良い仲間に出逢えたんじゃないですか」「グループ(バンド)は家族みたいなもの?」と聞いたらさわおさんが「そうだよ」と答えたと。
それぞれのメッセージを聞いて、泣きそうになりながらも映像が終わると“聞こえてくるのはキミの声 それ以外はいらなくなってた”とさわおさんのアカペラでの歌唱が聴こえてきた。ドラムのイントロが響き渡り、ステージ上に掲げられたロゴマークの電飾に明かりが灯る。真っ赤な緞帳が開いていき『この世の果てまで』からライブが幕を開けました。初めっから全力全開。さわおさんの声が物凄く出ていて、伸びやかで、真っ直ぐに突き刺さってくる。メンバーの演奏にも今日この日、このステージにどれだけの決意を持って立っているのか、気合いを感じる。目頭に熱が帯びているのを感じながらも、しっかりと受け止めようと拳を振り上げ、ステージをじっと観入っていました。ラスサビで“行こう 昨日までの2人を”のところを“行こう 昨日までの僕らを”と変えて歌っていたのは良かったですね。
道なき道を歩いてきたバンドを体現したかのような曲『MY FOOT』が力強く鳴り響き、『Blues Drive Monster』と続けられ、ボルテージが高まる。どうやら今日のライブはじっくりと感傷に浸る暇すら与えてくれないようだ。うっすらと涙目になりながらも、鳴らされる音に合わせて全力で踊り、拳を振り上げてました。
「集まってくれてありがとう。俺たち30年間ロックバンドを続けてきたんだ。今夜はその集大成だ。俺たちの音楽を受け取ってくれよ」
3曲歌い終え、小休止した後にとても優しい声で、さわおさんがそんなことを言うから容易く涙腺が決壊しました。ボロボロと泣きながらも『アナザーモーニング』を聴き、なんとか持ち直したと思ったら『スケアクロウ』が始まって。またとても優しい声で歌うんだよ、さわおさんが。慈しむような、とても優しい歌声で。またすぐに感極まって目頭が熱くなって、泣きそうになってしまう。けれどもやっぱり浸りこむような隙を与えてはくれない。
続けて歌われたのは『バビロン 天使の詩』低予算で作られたMVのシュールさとは打って変わって、メロディの良さが際立つ1曲。Peeちゃんの弾くギターのメロディが好きで、聴き入りながら踊ってました。ドラムのイントロが響き渡り、観客に手拍子を煽り『I know you』軽快なビートに体も心も楽しく踊り出す。
“全てにこだわりを 全てのチャンスボールにフルスイングを”
“今しかない時を今しかない両手で ぎゅっと掴んで騒いでる”
この歌詞がとても好きで、30年もやってきたバンドが歌うと説得力が違う。いや、キャリアではなくてthe pillowsだからこそ生まれる説得力なんだろうなぁなんて思います。
「1989年9月に結成して30年が経った。20歳だった俺が50歳になってしまった。でも俺は今でもサリバンになりたい!」と言って始まったのは『サリバンになりたい』
なんだか久しぶりに聴いた気がして、異様に1人で盛り上がって踊り狂ってました。Peeちゃんのギターソロがいつもと違って長めで、ステージ横の花道にまで出てきてギターをギュインギュイン弾き倒していて、カッコよかったな。ハットのカウントが入り『LAST DINOSAUR』
the pillowsに出逢った頃に、むちゃくちゃ聴きまくっていた1曲。こういうAnniversary Liveではやらないだろうなぁと思っていたので、意外な選曲にテンション上がりました。the pillowsオルタナサウンドの真骨頂と言っても過言ではないダイナミックな曲にこれまた踊り狂ってました。後ろに映し出されていた恐竜の映像は草食もいたりして、少しシュールだったかな。
少し間を置いてCD音源には収録されていない、聴き馴染みのあるライブ・アレンジのイントロ。一音目で『Please Mr.Lostman』だって、すぐわかってしまう。15周年ライブのDVDを何度も何度も見返して、すっかりこのイントロが馴染んでしまっている。アルバムのジャケットに合わせて後ろのモニターに映された、夕暮れ時の枯れ木の映像。咲くように流れ星が出てきたりして、主張し過ぎず寄り添うような演出がとても良かったですね。丁寧に紡がれるバンド・アンサンブルとさわおさんの歌声。
“ねじ曲がった時代になんて関係ない 僕らは出会った”
“Please Mr.Lostman それが全てだろう”
いつ出会ったか、どう出会ったか、出会った年月とかそんなことは関係ない。こうしてthe pillowsに出会えたこと。幸運にも30周年記念ライブにもこうして来ることができている。それが全てだな、なんて思わさせられる。心に染み込むようにすっと響いてきて、目頭が思わず熱くなってくる。
「one! two! three! four! five! six! seven! eight!」と3人によるカウントが入り『No Surrender』しっとりと聴かせる曲とガツンと盛り上げる曲の緩急が本当に激しい。感傷的にさせ過ぎない、特別感を出し過ぎない、とにかく良いライブをやる。そういう姿勢の現れなんだと思いますが、まるでジェットコースターのようで。
“Baby 傷つくなよ 汚れきった世界から 必ず連れ出してみせる”
“どんなに悲しくても 生き延びてまた会おう 悪夢を蹴散らす歌を唄いながら”
どんなに悲しくても、どんなに苦しくても、そこから連れ出してくれる・救い出してくれたのはいつもthe pillowsの歌でした。何が何でも生き延びて、また必ず会いたい・何度だってライブを観たい。聴きながらもそう強く思いました。
曲を終えて客席からの歓声に「今日は30年間で一番人気がある。もしかすると売れるかもしれない」とさわおさんが言うとPeeちゃんが横で爆笑していたのは目に焼き付いてますね。
「永遠のオルタナティヴ・クイーンに思いを馳せて」と言って始まったのは『Kim deal』Pixiesの元ベーシスト、The BreedersのVoであるKim dealの名前をそのままタイトルにしたこの曲。この曲もAnniversary Liveではやらなさそうだなぁと思っていたので、聴けて嬉しかったですね。自然とゆらゆらと体を揺らしながら聴いていました。
ジャガジャーンとさわおさんがギターを鳴らしたと思えば、始まったの『ぼくはかけら』20周年の時も25周年の時もライブでやっているけれど、またこの曲が聴けるのは嬉しいものですね。満たされた人が作る曲も確かに魅力的なんだけれども。満たされない、欠けたままだからこそ鳴らせる音楽がある。さわおさんはそれを自ら体現しているような人だとつくづく思います。
軽くギターを弾き『1989』とタイトルコール。1989年当時、札幌から東京へ上京してきた頃のことを落とし込んで作られた楽曲。
“僕はずっと孤独だった 会いたかった 誰かに”
静かに独白のようなAメロやBメロからサビへ繋げて、後半で爆発するかのように勢いが増すこの曲は何度聴いても胸が締め付けられる。2番のPeeちゃんによるエフェクターを使ったギターアレンジもとても良かった。後半の、悲痛な叫びのようにも思える“Please, catch this my song”と歌う姿が眩しくて。ただただ目に涙を浮かべながら聴き入ることしかできなかった。今、こうして横浜アリーナに来た1万2千人の人たちがthe pillowsの、さわおさんの歌を受け止めているという事実も拍車をかけて、感情が揺さぶられまくりました。
一転して、最新アルバムから『ニンゲンドモ』毒っ気たっぷりなこの曲を今日やったら、面白いなとは思っていたけれど、本当にやるとは思いませんでした(苦笑)めちゃくちゃ好きなんですけどね。ポエトリーリーディングながらこういう大きな会場でも映える曲だなぁと改めて思いました。
「もしかしてみんな無職?」「俺の言いつけ通り仕事辞めて来た?」「どうしたんだ平日にこんなにたくさん?」と茶目っ気のある軽いMCから「じゃあ10年ぶりに歌うよ」と『雨上がりに見た幻』結成20周年記念の時に作られたバンド・アンセムthe pillowsの代表曲と言える『ハイブリッド レインボウ』へのアンサーソングの側面もあって。道なき道を歩いて来た彼らだからこそ歌える曲。
この曲は歌っているさわおさん自身からも、演奏しているシンちゃんやPeeちゃんからも、サポートベーシストである有江さんからも只ならぬ迫力を感じました。歌の最後、音源とは異なり吠えるようにシャウトするさわおさんがとても印象的で、胸に突き刺さりました。体の奥底から熱くなってくるような、泣き出したくなるような、なんて表現したらいいのかわからない、感情の波がグワッと押し寄せてきました。
Peeちゃんによるギターリフがイントロで鳴らされて『サードアイ』後ろのモニターに3人ぞれぞれの演奏する姿が同時に映し出されたのはめちゃめちゃカッコよかったですね。そのあとに有江さんもちゃんと映っていて。派手な演出ではないけれど、こういう演出は燃えますね。ゆったりした出だしから段々とテンポアップしていくイントロからの『Advice』は昂まりますね。
ここでメンバー紹介。まずはサポートベーシスト、有江嘉典さんから。
「30年の長い歴史の一部分でも関わらさせて頂いて、今日みたいな貴重な体験をさせて頂いて嬉しく思います。皆さんと同じで個人的にもthe pillowsの3人へお祝いの気持ちを込めて演奏してます。今日という日を最後まで楽しみましょう」とファン同様にお祝いの気持ちを持ってステージに立っていることを話す有江さん。
次はシンちゃんだったのですが、どこでライブしようとも相変わらずマイペースで、冒頭のメッセージにも出てきた母親が「横浜アリーナ」と「横浜スタジアム」を勘違いしている話をして、しまいには「どこにあるの?」と聞かれたから「新横浜にある」と答えると「なんだ、新しくできたところなのね」と母親が言っていたのを受けて「横浜アリーナ30周年おめでとうございます」と繋げるシンちゃんに、思いっきり笑わさせて頂きました。
続いてPeeちゃん、またPeeちゃんのMCが感動的で。「夢を共にしたメンバーはもちろん、スタッフや関係者のみなさん、そしてバスターズの皆さん。時期は色々あると思うけど、30年間付き合ってくれてありがとう!じゃあ最後まで楽しんで」と言っていて、Peeちゃんが少し泣いているようにも見えて、グッと来てしまいました。
「じゃあもう少し行こう」とさわおさんが言い『Swanky Street』
・・・のはずが、イントロでシンちゃんがドラムを間違えて演奏が止まってしまい、客席から笑い声と歓声が上がる。さわおさんが「今の俺?俺が悪いの?」と自分を指差していたのがなんか可愛らしかったです。凛と張り詰めていた空気が緩んで「横浜アリーナでやるようなバンドじゃねぇんだよ」と自虐しながらさわおさんがPeeちゃんに「お前が柄にもなく感動的なこと言うからこっちは色々と食らってるんだよ」と毒づいているのも、なんだかthe pillowsらしくてちょっとほっこりしました。
気を取り直して、改めて『Swanky Street』先ほどの緩んだ空気も、すぐに立て直してしっかりと魅せてくれるのはさすがとしか言いようがないですね。続けて『About A Rock’n Roll Band』が歌われて。“あの日のロックンロールの 引力は万能で”の歌詞と、ライブ冒頭でさわおさんの母親が「寝食を忘れるロックンロールはそんなに面白いのか?」と語っていたのがリンクして、なんだか胸が熱くなりました。
Come on! LITTLE BUSTERS!」と煽り『LITTLE BUSTERS』飛び跳ねながら拳を振り上げ、コーラスの部分を一緒に歌ってみたり。横アリにこの曲が響き渡っているのがなんだか不思議な気分でした。『Ready Steady Go!』が鳴り響き始め、珍しく銀テープが発射されてめちゃくちゃテンション上がりました。飛んで来た銀テープを軽く握りしめながら踊り狂い、お客さんたちと一緒に“BUSTERS!”と叫んだのはとても気持ちが良かったです。アウトロでのさわおさんの歌声の伸びが凄くて、最後にまた感動してしまいました。「Thank you very much! ありがとう!」とさわおさんが叫び、ライブ本編終了。
 
アンコール。
特に多くは語らず「アンコール、サンキュー」と一言だけ言い、バンドの大きな転換点となった屈指の名曲『ストレンジ カメレオン』を披露。個人的にも何度もこの曲に救われてきたので、今日この日この場所で鳴らされる『ストレンジ カメレオン』を脳裏にしっかりと刻み付けようと懸命に観ていました。観ながらもやっぱり、さわおさんの歌声に、最後のシャウトに、涙がこぼれ落ちそうになりました。
そのまま今となってはバンド・ソングというより、ファンであるバスターズにとってのアンセムとなっている『ハイブリット レインボウ』
“Can you feel? Can you feel that hybrid rainbow?”
“きっとまだ 限界なんてこんなもんじゃない こんなんじゃない”
“ここは途中なんだって信じたい”
“I can feel. I can feel that hybrid rainbow”
“昨日まで選ばれなかった僕らでも 明日を待ってる”
アリーナに響くさわおさんの歌声がいつもに増して胸に突き刺さってくる。このバンドを、the pillowsを好きでいて良かった・・・心底そう思わされました。
「今日は会いにきてくれてありがとう。俺たちみたいな偏屈なバンドが、横浜アリーナのステージに立って、こんなにたくさんの人がアニバーサリーを祝ってくれるなんて・・・不思議だ」
「俺は・・・音楽業界を信用していない。けど君たちのことは信じたいよ」
演奏を終えて、他のメンバーがはけていく中、さわおさん1人ステージに残り、語ってくれた言葉。心の扉を開いて、お客さんたちと向き合って、伝えてくれた真摯なメッセージに胸が熱くて、涙がこぼれそうになりました。抱えた孤独感はずっと拭い去ることができない。けれどこうして、ライブで会うその瞬間だけは孤独じゃない。理解者がこんなにもいる。あんなにも素直に胸の内を吐露してくれたさわおさんの言葉に、ただただ胸を打たれていました。
さわおさんもステージを去り、客電が点り会場内に『Thank you my twilight 』が流れ始めて、お客さんたちみんなで合唱して。鳴り止まない拍手と歓声。すると再びステージに明かりが点り、メンバーが登場。
ダブルアンコール。
全員缶ビール(もちろんサッポロ黒ラベル)を片手にステージの両端にまで来てお客さんからの歓声に応えて、4人で乾杯。「あんなに練習したのにね」とさわおさんが言うと会場から笑い声が沸き起こる。『Swanky Street』でのミスを振り返り「俺たちポンコツだわ〜。こんなステージで曲が途中で止まるってある?」と自虐的に笑う。和やかで、なんだかいつもツアーで観る雰囲気が垣間見えて、ちょっと嬉しかったですね。「あんまり酔っ払う前にやろうか」と言い、セッティングしながらも『Swanky Street』の映像収録どうするかについて考えたり、缶ビール片手に「こう見えて中身はアクエリアスです」とおどけてみたり。軽くギターを鳴らして『Ride on shooting star』のタイトルコール。リフに合わせて体を斜めに向けたり、お決まりのパフォーマンス。それが楽しくてついつい真似して一緒にやったりしながら、踊りまくる。
「I love you, Funny Bunny」と『Funny Bunny』へ。
1番のサビでさわおさんがマイクから離れてモニターに足をかけて身を乗り出すと同時にお客さんたち“キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んできた”と大合唱。ラスサビでは“キミなら それができる”を“僕らは それができる”と歌い変えていましたね。
「Thank you、ありがとう」と言い知れぬ幸福感に包まれながらタブルアンコールが終わり、メンバーがステージを去っていく。去っていたのに、まだまだ鳴り止まない拍手の嵐に三度登場。
トリプルアンコール!
「若者だった自分を救ってくれたもの、そして50代になったバンドを今でも救ってくれるもの。それは普遍的なものだ。ずっと変わらない哲学だ。それは何か?新しいも古いもない世界!それがロックンロールだ!!」
さわおさんがそう叫び『Locomotion, more! more!』
一気に熱量が高まり、無茶苦茶に踊り狂う。拳を突き上げ、叫ぶ。
“世界を駆け巡り横浜シティも揺らした”と歌詞を変えて歌い、歓声が上がる。今この瞬間、この場所、横浜アリーナはロックンロールに揺れていた。
さわおさんがシャウトし、一部の無駄もなくバシッとロックンロールでライブを締める。モニターにはオープンカーに乗って走り去る3匹のバスターくんと「DON’T FORGET TODAY」の文字が映し出され、この特別な一夜は幕を閉じました。
 
結成30周年を記念した特別なライブではあったものの、ライブそのものは特別感を出し過ぎないようにモニターや銀テープはあったものの、派手な演出もなくシンプルでストイックな構成で。聴きたいと思う曲は多くあれど、選曲もベストと言えるぐらい30年の歴史の中から幅広く拾い上げられていて。まさに集大成、と言える本当に良いライブだったと思います。
「この日がピークだったと言える、そんなライブにしたい」と語っていたさわおさんの言葉に嘘偽りはありませんでした。
さわおさんの歌声はいつも以上に出ていて、伸びやかで、力強くて、時に優しくて。Peeちゃんやシンちゃんの演奏も丁寧ながらも熱がこもっていて、節々に並々ならぬ気迫が込められていて。それはサポートである有江さんの演奏も変わりはなく。いつも通りのようでいつも通りじゃない、今まで観てきた中で最大限に素晴らしいライブだったと言っても過言ではないと思います。
セットリストの曲順も緩急が激しいようにも思えるのですが、終わってみれば感傷に浸り過ぎず熱し過ぎず、ただただ楽しむことができるように考慮されていたのだろうと思えます。
観終わってから心底良いライブを観たな、という清々しい気持ちと感動が押し寄せてきて。the pillowsのことを好きで良かった、という想いが溢れていました。今までよりもよりthe pillowsのことが好きになっている自分がそこにはいました。
さわおさんが目指してきた、理想とするバンド・理想とするthe pillowsはこれで幕を下ろすけれど、バンドが解散するわけではなく、これからも続いていく。ゆったりと気楽に楽しめるライブをこれからやっていくことになるのだろうと感じています。けれど、それでいいんだと思います。もう30年もやっているのだから、肩肘張らずに気楽に楽しくやってくれた方が観る側としても楽しめそうだなぁと。バンドが続いていく限り、ライブを観に行き続けることには変わりはないのだから。さわおさんが歌うことを辞めてしまうその時まで。
the pillowsを好きになるということは、山中さわおを受け入れること」いつか怒髪天増子直純さんがthe pillowsについてのインタビューで答えていた言葉を改めて噛み締めつつ、しばらくはロング・バケーションに入るそうなので次に行われるライブを気長に待とうと思います。だって私にとって、生きていく上でもはや欠かすことのできないバンドなのだから。

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Thank you, my highlight05“ LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”
SETLIST
01.この世の果てまで
02.MY FOOT
03.Blues Drive Monster
04.アナザーモーニング
06.バビロン 天使の詩
07.I know you
08.サリバンになりたい
09.LAST DINOSAUR
10.Please Mr.Lostman
11.No Surrender
12.Kim deal
13.ぼくはかけら
14.1989
15.ニンゲンドモ
16.雨上がりに見た幻
17.サードアイ
18.Advice
19.Swanky Street
20.About A Rock’n Roll Band
21.LITTLE BUSTERS
 
ENCORE
23.ストレンジ カメレオン
24.ハイブリット レインボウ
 
DOUBLE ENCORE
25.Ride on shooting star
26.Funny Bunny
 
TRIPLE ENCORE
27.Locomotion, more! more!
 

ロビーに飾られた数々のフラワースタンド

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the pillows / 雨上がりに見た幻