小松未可子LIVE TOUR「小松の夜のパレード 2018春」全5公演感想。
小松未可子LIVE TOUR「小松の夜のパレード 2018春」
ノン・リリース・ツアーというのは小松さん自身にとって初の試み。
埼玉・東京(高田馬場)・大阪・東京(下北沢)・浜松の全5公演。
今までライブで訪れたことのない地方公演も2箇所ほど。
こうしてツアーが終わってしまい、改めて振り返ってみるとこのツアーは『挑戦』というテーマが設けられていたように思います。
(下北沢・浜松は撮り忘れました・・・)
今回のツアーはノン・リリース、ノン・タイアップということで。
縛りが一切何もない。
だからこそ何の曲をやるのか、どういうセットリストを組んでくるのかが想像できませんでした。
おまけに埼玉・高田馬場の2公演と大阪・下北沢・浜松の3公演との間に約2ヶ月近いインターバルがありました。
期間が空いたことに関しては小松さんもしくはライブ会場のスケジュールの都合があったかと思います。
このインターバルを挟んで、いかにツアーを完遂させるのか?
小松さん自身にとってもこれも『挑戦』であったように思えます。
やはり最初に気になったのはセットリストでした。
スタチャ在籍時代の楽曲を一切排し、現トイズ所属の楽曲のみで構成するということ。
ライブもプロデュースを手掛けているQ-MHz、特に田淵さんによる思惑がここに現れているように思います。
恐らく、あえてのトイズ楽曲オンリーだったように思います。
次へ繋げていくための。
2017年に行われたアルバム「Blooming Maps」ツアーを経ての今回のツアー。
シングル3枚、アルバムを1枚リリースしているとはいえ、前回のツアーと被る曲も多数ある中で、新曲2曲交えつつこのようなセットリストを組んだのも『挑戦』だったと思います。
どこまでやれるのか?どこまで盛り上げられるのか?これで満足させられるのか?
推し測るかのように。
なおかつ、スタチャ楽曲への飢餓感を煽るような『挑発』の意味合いもあったりするのかなぁ、とも思ったりもしております。
絶対にスタチャ楽曲をやらない、なんてことはないと思います。
ただ使い所を見極めようとしているようにも思えます。
今、小松さんの歌い方は格段に良くなっている。
上手くなっている、歌声の良さに磨きがかかっている。
けれどまだ伸びていく。
だから今は経験値を積ませ、もう1つ上の段階へ押し上げようとしているようにも思います。
その果てにスタチャ楽曲を歌ったら、どんな風に化けるのか?
次回のツアーはNewアルバム「Personal Terminal」のリリース・ツアーにはなるので、アルバム楽曲が主軸とはなりますが、
スタチャ楽曲も2〜3曲は混じえてくるのではないか、などと邪推しております。
さて、ライブ自体の話へ。
結論としてはどの公演も素晴らしいものでした。
インターバルを挟んでいることも踏まえて、決して安定感のあるライブだったとは言えません。
歌詞を忘れてしまったり、グロッケンの演奏を間違えてしまったり、歌声が途中でかすれ気味になったり。
しかし、それは瑣末なことであり、ライブ自体のパフォーマンスは素晴らしかったと思います。
魅せることのできるライブをしっかりとやっていらっしゃいました。
盛り上げるところ、抑えるところ、使い分けが上手く出来ており、
精一杯、自分自身が楽しみつつも観に来たお客さんたちを楽しませる。
昨年のツアーを経て、より成長したことを感じさせてくれました。
それに、バンドのギタリスト新井さんが仰られていらっしゃいますが・・・
その失敗してしまう、間違えてしまうところが人間臭くて。
彼女自身の人間性・人間力がよく現れており、だから魅力的な人なんだろうなぁとも思います。
また失敗したり、間違えたりした時の恥ずかしさに溢れた小松さんの照れ笑いがとても可愛らしくて。
それもまた小松さん自身の魅力だなぁと思います。
次のツアーも何卒宜しくお願い致します!
ちなみにやっちまったと仰っていた"ふれてよ"は、やっちまった故にどれも人間臭くて僕はむしろ好きな感じでした。
おそるべし。
お疲れ様でした!!!
なにより、今回のツアーを通してバンドが鳴らすサウンドと小松さんの歌声ががっちりとハマるようになったと思います。
サウンドと歌声の一体感が一層高くなっていました。
Humming Maps Vol.1とVol.2、アルバムツアー、ハピこしとバンドメンバーとともにライブを作る回数を重ねることで馴染んできたのだと思います。
さて、今回のツアーは前述している通り、約2ヶ月近くのインターバルを挟み、前半戦(埼玉・高田馬場)と後半戦(大阪・下北沢・浜松)と分かれておりました。
分かれているものの、セットリストが大きく変わることはなく、ライブ中盤に歌われた楽曲「硝子の地球儀」が「ふれてよ」に変わっただけでした。
公演ごとにセットリストをあまり変えない、というのも田淵さんの意向によるものでしょう。
今ツアーのセットリストはトイズ楽曲のみでしたが、始めから圧倒されるような内容でした。
イントロのジャム・セッションからの1曲目にいきなり「Tornade voice」を持ってきて、そこから畳み掛けるように「Cacth me if you JAZZ」「short hair EGOIST」「Lonely Battle Mode」はかなり熱量が高かったです。
飛んだり跳ねたり踊ったり。
それぞれが思い思いに楽しみながらも、熱い空間を築きあげていました。
そこからライブでは初お披露目、ビッグ・バンド・ジャズ調の「Piña Colada & Caipirinha」で横ノリ。
間奏のボサノヴァ調のギターアレンジがとても心地良かったです。
そして会場限定販売されていたスカな新曲「Happy taleはランチの後で」でさらに踊らさせ「imagine day, Imagine life!」へと繋げ、ライブ前半は疾走感に溢れる内容でした。
この前半戦は小松さん自身もかなり大変だったかと思われます(苦笑)
それぐらいの勢いと熱量が込められていました。
中盤戦に入るとちょっとした試みがありました。
埼玉・高田馬場公演では「硝子の地球儀」、大阪・下北沢・浜松公演では「ふれてよ」でしたが、
曲の1番を今井さんのピアノ伴奏のみでの歌唱。
あれは本当に素晴らしく、鳥肌が立ちました。
またピアノ、キーボードの音色と小松さんの歌声が実に合うのです。
小松さんの歌声の良さが際立ち、ただ聴き入ることしかできませんでした。
どちらの楽曲でも今井さんがコーラスを入れており、それがまたとても良くて・・・
さらに小松さんの歌声が際立たせるという相乗効果が半端なかったように思います。
1番がそのような形で歌われたため、またそれがドラム・ベース・ギターも入る2番以降の良さを引き出す、という相乗効果に次ぐ相乗効果で本当にとんでもなく素晴らしい試みでした。
歌い終えた後、なにやらステージでセッティングがされて、小松さんの前になにやら楽器が・・・
新井さんがアコギに持ち替え、椅子に着席スタイル。
黒須さんも座っていらっしゃる。
何が始まるのだろうか・・・?
と思いきや、小松さんがグロッケンを叩き出し、ジャズ調のセッションが始まる。
ジャズっぽさのあるアコースティックなサウンドをバックに「シュビドゥバ〜」と小松さんが歌う。
シンプルなサウンドとシンプルな歌詞。
スキャットで歌う小松さんの歌声の良さを思いっきり堪能できる、素敵な試みだったと思います。
そのままアコースティック・アレンジでの「ランダムメトロノーム」
本当に、こんなにもたっぷりと小松さんの歌声を堪能して、なんて贅沢なひと時だったのだろう・・・と今振り返ってみても思います。
アレンジが違えばまた別方向からの楽曲の良さが現れ、ただただ小松さんの歌声に耳を傾ける。
このアコースティック・ゾーンは公演を重ねる度に、聴く度に感情を揺さぶられる幅が大きくなっていき、「小松さんの歌声が本当に好きなんだなぁ」としみじみと聴き入ってしまい、最終的に浜松公演では聴きながら涙が溢れてきました。
そこからの「また、はじまりの地図」は本当に秀逸でした。
しっとりとした空気を切り替える、という意味合いもあるのでしょうが、ここでこの曲を持ってくる采配は本当に素晴らしかった。
改めてこの曲の良さとこの曲が持つ意味合いを感じることができました。
ここでも感情が掻き乱され、目に涙を浮かべながら聴かせて頂きました。
ここから一転。
fhána・towanaさんの歌声が響き渡り、小松さんの歌声と交わっていく「My sky Red sky」
ライブで聴く度に化けていき、何度聴いて気持ちが良い。
小松さんの歌声とtowanaさんの歌声が交わる瞬間の、あのゾクゾクとする感じ。
力強いドラムの音、グルーヴィなベース音、流麗なキーボードの音、痺れるようなギターの音色。
全てが交わった時の高揚感。
本当にすごい曲だなぁ、と痛感しました。
またいつか、fhánaさんを交えてセッションして欲しいですね。
ここからもう1曲、新曲「SPICE MISSION」
ホーン・セクションが気持ちよくて、この楽曲もちょっとビッグ・バンド・ジャズっぽい感じで、横にノリながら心地良く聴かせて頂きました。
この曲は会場限定販売CDのシークレット・トラック的に最後の曲が終わった1分後ぐらいに1番だけ収録されておりますが、次のアルバムに収録されることでしょう。
緩やかなメロディが流れ出して「Maybe the next waltz」へ。
この曲も改めてライブで聴くと本当に化け物みたいな曲で。
とても熱いのに抑制されていて、抑制されているのにとても熱い。
静かに、青く燃える炎のような楽曲だなぁと思いつつ、ワルツのテンポ感で体を揺らし踊りつつ、内側から熱くなります。
ここで軽くMCを挟み、後半戦の幕開け。
バンドセッションをしながらメンバー紹介を挟み、
ピアニスト末光篤さんが編曲されたピアノロック楽曲「Swing heart direction」へ。
「Swing」の名の通り、これほど踊ることに適した楽曲はない・・・と思いながらも踊りながら聴いておりました。
最後に“ラ〜ララ〜♪ラララ〜Swing heart〜♪”と会場が一体になって歌っているのは気持ち良かったです。
その次に歌われた「純真エチュード」では飛び跳ねながら、小松さんの振り付けをみんなで一緒にやったり。
この楽曲の持つ楽しさは異様ですね。
再びイントロのジャム・セッションから今回のツアータイトルの元となっている「真夏の夜のパレード」へ。
個人的には一番昂まっていた曲です。
小松さんの同期で流れる歌声と、今目の前で歌っている小松さんの歌声の重なり具合がとても心地良く、歌詞の内容のように夢と現実の境目にいるような、不思議な感じもします。
個人的にはこの楽曲の新井さんによるギターフレーズが好み過ぎまして。
カッティング大好きなのです(笑)
なおかつ間奏でのギターソロが本当に素晴らしくて。
リフからのブレイクする瞬間がめちゃめちゃ好きなんです。
こういうギターフレーズやアレンジに極端に弱いのです(笑)
あとアウトロ前の英語詞での小松さんの歌声がかなり良かったですね。
そして本編ラスト「HEARTRIL」
この曲では何度も何度も跳ばさせて頂きました。
熱く、血を滾らせながら、何度も飛び跳ねて。
ロックンロールを感じさせるエネルギッシュな楽曲であり、それに相応しいパフォーマンスに熱くならざるおえません。
アンコール。
ここで長めのMC。
各地で内容は違っており、はっきりと覚えてはいませんが・・・
花粉症の話をしていたことはよく覚えています。
大阪ではこの時にQ-MHzからの手紙を黒須さんが読み上げるという形で次回大阪ワンマン・ライブの告知&そのワンマンが成功したら大阪でハピこし(アコースティックVer.)の開催があるかも?という告知を。
下北沢ではNewアルバム「Personal Terminal」のリリース決定とアルバム・ツアーの告知が行われました。
MCを終えると『じゃあもう少しだけ歌わせて下さい』と「Piece of Peace」
この楽曲もライブでのお披露目は初めて。
穏やかなメロディとハンドクラップが鳴り響き、緩やかに体を揺らす。
“変わらないでいたい マイペースがいいね だから歩いておうちへ帰ろう”
の歌詞は本当に秀逸で。
こうしてライブで聴くとまた響き方が違って、涙腺を容易に刺激してきます。
最後はこの曲で、ということで「エルジェルナンバー」
叫び、歌い、飛び跳ねる。
この曲もライブを重ねる度に磨かれて、キラーチューンと化してきたように思います。
なにせ小松さん自身の誕生日ソングでもありますしね。
会場中で響き渡る“Happy Birthday”の声。
みんなでコーラスを叫び「小松未可子でした」とライブは終演しました。
今回もバンドメンバーの皆様についても少し。
素晴らしいプレイとパフォーマンスで場を盛り上げ、とても良い空間を作り出していらしたフロントマンであるベース&バンドマスター黒須克彦さん、ギタリスト新井弘毅さん。
新井さんに至っては彼のパフォーマンスはある意味名物のようなものになってきているように思います。
フロントマンであるがゆえに、お二人に目が行きがちですが・・・
今回のツアーの影の立役者は今井隼さんだと思っております。
ピアノ、キーボードの秀逸な演奏に加えて中盤の「硝子の地球儀」もしくは「ふれてよ」での伴奏とコーラス。
本当に素晴らしいものでした。
鈴木浩之さんのドラミングもパワフルかつエネルギッシュで。
本当にこのバンドは素晴らしいバンドだなぁ、というのを痛感しております。
ライブの楽しみ方は人それぞれで。
バンドメンバーの方々を堪能していらした方も多いことでしょう。
私自身もバンドメンバーの方々のプレイを堪能しておりました。
しかし、このツアーで一番感じたことは、小松さんの歌声の良さだと思います。
アコースティック・アレンジでの演奏があったこともありますが、
これでもか!っていうぐらいに彼女の歌声の良さを感じさせるライブ・ツアーだったと感じております。
私自身も、小松さんの歌声がめちゃめちゃ好きなんだと再認識しております。
ボキャブラリィや専門的な音楽的知識を持ち合わせていませんのでなんと言えばいいのか、本当にちょうど良く心地の良い歌声だと思うのです。
高過ぎず、低過ぎず、耳障りの良い歌声。
この辺は最早個人的な趣味・嗜好の問題ですので、同意してもらおうだとか共有しようだとかは思いませんが。
私個人にとっては、小松未可子さんの歌声は女性ボーカルとしては理想的な歌声だと思っております。
あと印象的だったのは歌っている時の表情と、ふと客席を見渡した時の表情でした。
とても楽しそうで、嬉しそうで、笑顔に溢れていて。
毎回言ってることで同じことの繰り返しにはなりますが、素敵な表情をするなぁ・・・としみじみ思いました。
さてさて、長々と書いてまいりましたが・・・
リリースの伴わない今回のツアー。
幸運なことにこうして全5公演を見届けることができましたが、改めてこのツアーが持つ意味とはなんだったのだろうか?とふと考えてみようと思います。
冒頭にも上げた通り『挑戦』というテーマが設けられていたように思うのですが、さらには小松さん自身に経験を積ませる、という意味もあったのだろうと思っております。
トイズファクトリーに移籍してから早いもので1年半。
その間に行われたライブの数。
ハピこし2016と2017、Humming Maps Vol.1とVol.2、「Blooming Maps」のリリースツアーが4本、そして今回のツアーが5本、計13本。
1年半で13本のライブ。
間にイベントへの参加も2〜3本ありました。
明らかに声優さんが行うペースでのライブの数ではないように思います。
経験を積むことで磨きをかけ、更なる成長を促していく。
それは小松未可子さん自身が本格的にアーティストとしての活動をしていくという覚悟と決意の表れなのかもしれません。
かといって声優業を辞めたり、疎かにすることもないと思います。
両立させていくことは極めて難しいことかと思いますが、彼女は本気で両立させようとしている。
並大抵のことではありません。
それでも彼女は成し遂げようとするでしょう。
ならば私はそれを静かに見守っていきたい、と思っております。
急激なライブの増加やリリース・ペースの速さ、今回のツアーでスタチャ楽曲がなかったことなどなど。
モヤモヤしたり不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。
小松さんの変化を喜び・楽しむ人達が多くいて、この人達とは、周りとは違うから・・・と戸惑いを感じていらっしゃる方もいると思います。
彼女自身がアーティスト活動面において変わろうとしているのだから、モヤモヤしたり不安に感じたり、戸惑ったりすることは当然だと思います。
ただそれは決して悪いことではありません。
悪い方向へ進んで行くわけでもありません。
そうなるようには思えないのです。
文字通り自然体で“自由な世界で遊ぼうか”を実現していこうとしているのだと思います。
時間はかかるかと思いますが自分なりのやり方で、自分なりのペースで、小松さんを見守っていければ、それでいいのだと僭越ながら思っております。
彼女は、小松未可子さんはまだまだこれからも成長していく。
それが何処へ辿り着くかなんて、本人も完全には理解してないことかもしれません。
ですが、何処へ辿り着こうともそこから何度も、何度でも始まっていくのだと思います。
地図を片手に、手探りで。
彼女の旅はまだ、続いていくのだから。
SETLIST(全公演)
01.Tornado voice
02.Catch me if you JAZZ
03.short hair EGOIST
04.Lonely Battle Mode
05.Piña Colada & Caipirinha
06.Happy taleはランチの後で(新曲)
07.Imagin day, Imagine life!
08.硝子の地球儀(Re-arrange Ver.)[埼玉・高田馬場公演]
08.ふれてよ(Re-arrange Ver.)[大阪・下北沢・浜松公演]
SESSION
09.ランダムメトロノーム(Acoustic Ver.)
10.また、はじまりの地図
11.My sky Red sky
12.SPICE MISSION(新曲)
15.純真エチュード
16.真夏の夜のパレード
17.HEARTRAIL
ENCORE
18.Piece of Peace
19.エンジェルナンバー